青春の備忘録
 「えっと、8組の方なんですね」
 「8組っす」
 教室に来た2人は、2年8組のサッカー部らしい。
 「それで、何か私に用事でしたか」
 私は目の前に立つサッカー部にそう尋ねた。
 この教室に突然入ってきて、嫌がらせか、面白半分か。
 内心、疑念と焦燥を感じていた。
 「いや、その、何て言うか」
 私は一歩引いて付け加えた。
 「私を呼んでいただくのは構いませんが、うちのクラスにはお昼休みでも勉強をしている人もたくさんいます。うちのクラスの迷惑にならないように……それだけお願いします。では失礼します」
 それ以上、サッカー部の2人も何も言わなかった。
 私はおどおどと教室のドアを開けてみたが、教室の中は、嵐が去ったように、あるいは、何事もなかったかのように静かだった。
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