青春の備忘録
 そして、思い出したようにハッとした。
 「部長、今月末のイベントだけど……」
 今日の音楽の授業で顧問から連絡を預かったので、それを伝えるのが今日の目的だった。
 「じゃあ、そういうことで。また来週ね、練習頑張ろう」
 私は用件を伝えて教室を出ようとした。
 「田川さん、もう帰るんすか」
 「もうちょっといてくださいよ」
 教室の後ろの方に固まっていた野球部やサッカー部から声が上がる。
 「帰りますよ、もう用事は済んだので」
 私は教室を出たが、
 「まあまあ、いいじゃないすか。ちょっとだけ」
 と言って良太が廊下に出てきた。
 良太にそう言われると、なんとなく断れないような気がして、私は教室に入り直した。
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