青春の備忘録

8月──合宿のち試合

 「ふぁ〜……」
 私は大量の問題集を前に、大きな欠伸(あくび)をした。
 大きく開けた口からフワッと出る息が、手のひらいっぱいにかかる。
 「はい、じゃあ今から1時間と40分ね、頑張っていきましょう」
 旅館の大広間にあるステージから教師の声が響いた。
 夏休み恒例の学習合宿も3日目、1時間半と少しの自習時間を5コマ分こなすのは、特に自分の学力より高い大学を目指すわけでもない私には難儀なことだった。
 ペンを走らせてみるが、眠気に勝てず、暗号文のようなものを書き続けている。
 時々、ハッと目が覚めるが、また直ぐに睡魔に襲われる。
 15分の休憩時間には自室に戻って10分だけ仮眠を取るし、食事もお風呂も早々に済ませて睡眠時間を長くしているはずだったが、どうしても眠たかった。
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