手を伸ばした先にいるのは誰ですか
「oak wine」「oak sparkling」「「缶?」」
「はい、270mlのボトル缶です。昨年試作しまして、今はまだ市販しておりませんが山梨県内のいくつかの企業のイベントや粗品用に作っております。こちらをサービス特典にご利用いただけるならスパークリングと赤、白のワインの3種類でご用意できます」
スクリューキャップのボトル缶入りワインを提案する。
「これって…ホテル名の印字が可能ということですか?」
「はい。oakというラベルは変えられませんが、その下にホテル名を入れられます。文字数に制限があるので…」
「Ninagawa Queen'sまでになる?いや、半角でHotelまでいけるか…業者にすぐに確認します」
谷川がスマホを手にドアの向こうに消えると
「これなら保存可能でロスはないし、持ち帰っていただくお土産にもなっていいかもしれないわね、美鳥さん」
「はい。あくまでもフェア用のもので販売はなしにしてspacialな感じをキープすることでレアなお土産になるし、3つのレストランでお召し上がりになれば2本のお渡しというのも可能になってきますね」
「これ、中身はどのワインですか?」
川崎さんに聞かれてリストに印をつけると、谷川が戻りHotelまで印字オーケーだと俺たちに告げる。
「私が好きなタイプのワインだ」
「はい、どちらかと言えば若くフレッシュな川崎さんのタイプです」
ここで和やかに笑いが起き、検討して早急に連絡すると言ってもらって今日は終了だ。帰りにエレベーターまで送ってくれた美鳥の耳元で
「今夜電話する」
と囁いてから、谷川とエレベーターに乗った。