デス・チケット
タイセイを壁にもたれかけるようにして座らせ、私もその隣に座った。


バッグからハンカチを取り出してタイセイの汗を拭う。


その時、タイセイの視線が私のバッグへと向かった。


「それ、ずっと持ってるな」


「え? バッグ?」


肩から斜めにかけるタイプのバッグだったので、邪魔になってもずっとかけたままでいた。


小ぶりなものだから、そんなに気にもならなかっただけだ。


「スマホは?」


タイセイに言われてハッと息を飲み込む。


遊園地の楽しさや、お化け屋敷に入ってからは死にものぐるいで逃げていたから、スマホのことなんてすっかり忘れてしまっていたのだ。


私はすぐにバッグの中から白いスマホを取り出した。


電源は入っている。
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