こんなのアイ?




「もう…引っ越し先伸ばしにしようかな…」

 助手席の愛実は不機嫌に呟く。ハンドルを片手に、もう一方で愛実の手を握り

「ごめん、愛実…今度から気をつけるから明日引っ越しはしてきて」
「うーん」
「今度から出勤の朝は我慢する」
「…」

 自分の忍耐力の無さを後悔する…少しだけ…朝の愛実は夜の愛実とまた違う味わいなのだ。結局あのあと、愛実の全身を舐め回し深く貫き妖艶に揺らした。シャワーを浴び身支度をする間も時間が無さすぎると彼女は不機嫌だ。

「愛実も気持ち良かっただろ?」
「…そういう問題じゃない」
「うん」
「悠衣があんな…あんなに…」
「…あんなに何?」
「…」

 繋いだ手を解き車を下りる態勢をとる愛実にもう一度謝りながらハザードをつけゆっくりとブレーキを踏む。

「…ありがとう、いってきます。悠衣もいってらっしゃい」
「ん、愛実…今夜電話する」

 その週末、愛実のマンションから荷物を運んだが克実のマンションのものはそのまま残した。俺が出張の日には克実のところでというのが克実の主張だが、いつでも戻れるようにという彼なりの心配もあるように思う。その不安もすぐに払拭すると心に決めた。
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