こんなのアイ?




「I wanna see her,again…」
「ふっ…珍しいこと言うんだな、ブレント」
「なんとなくだけどね」

 僕はグラスを揺らしながら今思い浮かんだアイデアを悠衣、いやこの場合は社長に伝えてみる。

「淡水パールでシリーズ化していこうかな」
 
 悠衣は返事をせずもう少し具体的な話を待つ社長の顔で静かにグラスを置いた。

「今からデザインを始めて春から順に発表、夏にはいくつかのデザインで出せるはず」
「海パールより低価格で汗に強い淡水パールな…」

 悠衣の視線はグラスを見ているようで見ていない。彼の頭の中は淡水パールという素材についてはもちろん、すでに今後の発売予定のものとの視覚バランスや価格帯のバランスをフル回転で計算しているはずだ。

「ブレント」

 たっぷり待ってようやく声を掛けられた僕が彼と視線を合わせると彼は今までより小声で

「ここでは話せない。場所を変えるか来週会社で話す」

 と言う。気になったまま週末を過ごせないのでもちろん彼のマンションに場所を移した。そしてシリーズ化ではない新しい形でのデザインと販売を悠衣に持ち掛けられ、その新しい試みを受け入れデザインを開始することにした。
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