極甘結婚はおあずけですか?
第3章 活躍はこの目でしっかりと
喧嘩をして、千紘が帰ってしまったあの日から3日――。
私は仕事終わりに、こっそりと球場に来ていた。
いつもなら“今日行くよ”と連絡を入れるけれど、今日は何も言っていない。
それに、仕事がある日に平日のナイターに来ることはあまりないのだけれど、この2日間全く連絡がないので思わず来てしまった。
普段なら気にしないことなのに、喧嘩をした後だから気になってしまったのだ。
ちなみに、こっそりとは言っても私が座る席は、千紘が年間契約をして用意してくれている関係者席だ。
だから、見に来ていることはバレているかもしれない……。
周りのファンは、応援している選手のユニフォームを着て、タオルを持って、試合が始まるのを楽しそうに待っている。
だけど私は、どんな顔をして千紘に会えばいいのかをずっと考えていた。
もちろん、周りのファンに負けずに私も千紘のユニフォームを着てタオルも持っているけれど……。