極甘結婚はおあずけですか?
私が焦って嫉妬してしまうのはそのためだ。
なのに、千紘は言葉に詰まったように何かを隠してしまう。
まさか、本気で私に飽きてしまったの……?さっきまでのイチャイチャは嘘だった?
テレビからは恐怖でドキドキするような音楽とともに、悲鳴が聞こえてくる。
全くもって場違いな音だ。
私はその映画とは違う意味でドキドキしていた。
本当に捨てられてしまったらどうしよう……。
私はそれ以上何も言えなくなり、千紘も黙り込んでしまっているため、映画の音だけが妙に大きく感じた。
しばらく無言が続いたけれど、それに耐えきれなくなったのか、千紘は私から離れて荷物を持って立ち上がる。
「帰る」
「まっ……」
待って、置いていかないで……。
そう言う前に、千紘はさっさと家から出ていってしまった。
パタンと閉まる玄関の音が、私を拒否したように思えて動けなくなる。
「言いすぎた……」