豆腐
第一章 豆腐との物語

まもるとまなみ①

僕は豆腐が好きだ。

味噌汁やお吸い物に入れて食べるのも好き。

サラダに豆腐を入れて食べるのも好き。

鍋に入れて食べるのも好き。

揚げ出し豆腐も好き。

麻婆豆腐も好き。

冷奴も好き。

もうこれだけ言えば僕は満足だ。

完結

と言いたいところだが、それではただの僕の紹介になる。

ちなみに豆腐という漢字の由来や発祥は今の時代インターネットで検索すれば出てくるので割愛する。

ある日僕はいつものように豆腐と話していた。

彼の名は「まもる」。

僕と同い年だ。

「今日のお味噌汁はどうだい?君のお母さんはワカメを少し多く入れ過ぎてはないだろうか?」

僕も同感した。

しかしワカメも美味しいので、特に気に留めなかった。

僕の家の隣は豆腐屋だ。

僕らと同級生の女の子がいる。

僕とまもると葉月は昔から3人で遊ぶことが多かった。

僕が葉月を自転車の後ろに乗せ、まもるを前のカゴに乗せた。

夏は川へ遊びに行ったり冬は商店街のクリスマスツリーを見に行った。

僕と葉月が喧嘩をすると、いつもまもるが間に入って仲直りになった。

まもるには3歳離れた「まなみ」という妹がいた。

彼女はまもると反対に人見知りで恥ずかしがり屋だった。

彼女が小学生になり僕達と登下校をしたり遊ぶようになって少しずつ打ち解けていった。

葉月はいつも僕に「直樹はお兄さんでしょ?」と言っていたが、それを言うならば葉月はお姉さんになるし、まもるは実の兄だ。

僕は今でも葉月の言葉を思い出すが彼女の言葉の真意はわからない。

ましてや僕も葉月も一人っ子だ。

ごちそうさま、僕は食器を台所へ持って行くと部屋に行った。

まもると一緒に宿題をした。

彼は勉強もできて運動神経もいい。

クラスでも女子からの人気は高い。

彼はいつも僕より先に宿題を終わらせると僕の宿題をじっと見つめては「ここは違う」、「この問題ができるようになったね」、「少し休憩をしよう」などと気にかけてくれた。

彼のおかげで僕はテストでの点数は平均点を下回ることはなかった。

彼がいた時まではそうだった。
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