陰謀のための結婚

 夕食やお風呂を済ませ、自分の部屋で横になる。

 突然、『香澄は香澄の幸せを考えて』と言われ、眠れない。

 私の幸せは、と考えて一番に浮かぶのは、智史さんの顔。けれど、それは望めない。

 頭を振って、頬を数回叩く。

「暗くなっても仕方ないじゃない。少しでも一緒にいられるんだから、その期間を楽しまなきゃ」

 終わりを悲観しても、なにも生まれない。終わりから目を背けて、今を楽しもうと心に決めた。
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