腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

―――あぁ、リク先生って、本当はこんな風に心底楽しそうに笑う人なんだ……。


 そう思ったとき、急に胸がドクンと音を立てる。
 それが何なのか分からなくて、私は胸に触れ首を傾げる。

 そんな私に、また先生はキスをしようとした。
 私は慌ててその唇を自分の手でふさぐ。

「ちょっと、何回するんですか!」
「なんかムラムラしてきちゃった。やばいね」
「む、ムラムラって……! ぜ、絶対ダメですからね!」

 思わず叫んで、自分の身体を腕で覆う。
 そんな私を見て先生はまた楽しそうに笑った後、

「ねぇ、もも。ここではこれ以上しないから……だから、僕を名前で呼んで」

 突然、真剣な表情をしてそう言った。
 私が驚いて先生を見上げると、先生は誤魔化すように笑う。
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