腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 でもね、なんとなくわかったんだ。
 先生にもいつも言われてるから。

―――もも、かわいい。

 聞こえないはずのそのリクさんの声がやけに体に染み入ってくる。
 リク先生になら、ありがとうございます、って普通に返せるのに……リクさんに言われるとなんだかすごく恥ずかしくなって、私はきゅっと目を瞑る。

 そうすると、やけに胸がドキドキとうるさく感じてしまう。絶対顔も赤い。

 少し前まで、リクさんのこと苦手だったのに。

 工藤先生に言われて、知りたいって思っただけのはずだ。
 なのに。知りたい以上の感情がふつふつと沸きおこってくる。

 そっと目を開けると、リクさんの目に捉えられた。
 その力強い目線から、自分の目がそらせなくなる。そらしたくないと、思う。

 次の瞬間、当たり前みたいに、二人の唇が重なった。

< 157 / 218 >

この作品をシェア

pagetop