腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 そんなことを考えて、じとっとリクさんを見つめると、リクさんは宿直室の扉の方をちらりと見て、

「あっちも、終わったみたいだねぇ」

と言い出す。
 扉の向こうはいつの間にか静まり返っていた。
 私はぼんやりしたまま返事をする。

「終わったって……生々しいんですけど」
「え、じゃあどう言えばいいの」
「イ……」
「い?」

 ふと止まって、リクさんを見ると、リクさんはすごく楽しそうにニヤニヤしている。

(ちょっと待て、リクさんに気を許しすぎてとんでもないことを言い出しそうになった!)

 慌てて顔の前で手をぶんぶんと横に振る。

「いや、私には何のことやらさっぱりわかりません!」
「今のは、絶対、僕のより生々しいこと言い出しそうな感じがしたけど。さすが脳内思春期男子……」
「その変な呼び方やめてくださいよっ!」
「だってそうじゃん。やらしいなぁ、もも」
「やらしい言うなぁ!」

(うわぁん……! これでも、この前初めてしたばっかなのに! まるで私が変態みたいじゃない!)
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