腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 私はリクさんの両手を握る。
 リクさんの手は暖かかった。

「リクさん、先生は大丈夫です。本音を出しても、みんな、私と同じようにリク先生のこと好きになります」

 それからリクさんを抱きしめる。
 先ほど、リクさんがしたように、強く。

「だから、夜だけなんて言わずに、先生とずっと一緒に私のそばにいてください」

 リクさんを見上げると、リクさんは私の目を見ていた。

「だめ?」

 首を傾げる私を見て、リクさんは苦笑する。
 それからもう一度私を抱きしめると、

「ありがとう。もも」

 そう言って、リクさんが子どもみたいな笑みを浮かべる。
 次の瞬間、昨日の夜そうしたように、私とリクさんの唇が重なった。
< 195 / 218 >

この作品をシェア

pagetop