腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 その日も優しく抱かれた後、私は先生の腕の中にいた。先生はポツリと呟く。

「自分の思ってる本音、普通に言えて、受け入れてもらえるって……こんなに満たされることなんだね」
「先生、本当に、全部本音を言ってくれてます?」

 私が顔をあげてそう聞くと、先生はきょとんとした顔をした。

 そう、私たちは毎日のように抱き合ってはいるが……
 いつも私の体を気遣ってか、優しく一回だけ、なのだ。

 リクさんから本音を一度聞いたせいもあるし、
 初めて抱かれた日の記憶のせいもあるからか、私は今の2人の夜が先生の本音に従っているようには思えなかった。

 リクさんは一回じゃ満たされないって、はっきり言ってたし……。
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