腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 やっと解放された時、いつの間にか泣いていたことに気づく。
 涙を拭って先生を睨むと、

「可愛い、もも」

 先生はうっとりした顔で愛おしそうに私を見つめる。

「もっと泣いて? 僕にいじめられて泣いてるもも、可愛すぎる。今すぐ、めちゃくちゃに抱いてもっと泣かせたい」
「ひぃっ……!」


 先生の本音、ずっと知りたいと思ってた。

 先生の弱いところも全部、受け止めたいって。それで心も身体もひとつになれたら最高だって……。

 でもこれは……。

―――思ってた本音と全然違うんですけど⁉︎
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