腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

「は、はいっ! よ、よろしくお願いしますっ……!」

 私が夢中で叫ぶと、先生はクスクス笑った。

(あれ、また雰囲気壊しちゃった⁉)

 そう思って私が焦っていると、先生は私の髪をとかし、耳元に唇を寄せると、小さく「うん、お願いされました」と返事をする。

 そのままきゅっと優しく抱きしめられて、耳に、首筋にキスがゆっくり落ちてくる。

 そのゆっくりした動作がくすぐったくて首元を手で覆うと、その手をそっと取られて、指を絡められた。
 それから首筋に痛いくらいの長いキスをされる。

 そこが昨日の夜、先生に強引に口づけられた場所と同じところだと気づくのに、時間はかからなかった。

「先生ぇ……」

 なんだかやけに不安になって名前を呼べば、先生は安心させるように額にキスをする。
 そしていつもするみたいに頭を撫でた。

「大人げないけど……ここでやめたくない」

 その緊張したような声に、ずっと大きく鳴っていた私の心臓は、キュッと掴まれたようになる。
 私だって、先生と一つになる覚悟はしたはずだ。

「大丈夫だから。やめないで、先生……」

 キスをせがめば、何回もキスをしてくれて、
 それから、温かい手が私のルームウェアの裾から差し込まれた。

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