腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
先生は困ったように微笑んで、私の髪を優しく撫でる。
「ありがとう」
「私じゃ言いにくかったですか?」
「そうじゃなくて、これを知られたらももは僕といてくれないんじゃないかってずっと不安だった。それに、ももは12時にはたいてい寝てしまっていたから、ばれずに過ごせるって変に打算したんだ。格好悪いよね」
「先生……」
髪を撫でてくれている先生の大きな手に上から触れて、ぎゅっとその手を握り締める。そして先生をまっすぐ見て覚悟して告げた。
「私、どんな先生でも受け入れたいって思ってます。先生にとっては頼りないかもしれないけど、これでも先生の奥さんなんですよ」
―――きっと先生が悩んで、考えて、話そうって決めてくれたことだから。私は受け入れたい。