黒曜の戦場


「ちょ……」と抗議の声をあげようとすれば、隙間から彼が入ってくる始末。

もう、やりたい放題じゃないの!!



いおの体勢を崩そうとその腕に手を回そうとした所で、唇が離れた。



「悪ぃ、我慢できなかった」



両手を上げて離れるいおに、私はそれ以上なにも出来ない。

先に外されては、抵抗の意味が無くなる。



というか、なんで少し受け入れちゃってたの私?

舌噛むなりなんなり、いくらでも出来たのに。



頭が熱い、息が上がってる、呼吸を止めてしまっていた。

そして、そのモヤっとした胸の陰りを消すように。



「アンタ……女に慣れすぎ」



最低、最低、最っっっ低!!

中学の頃に散々していたのか、それとも現在進行形なのか。

私相手に正面から堂々と来るなんて思っていなくて驚いたけれど、この男は誰にでもあんなことをするんだろうか?



気付けば、私は逃げ出していた。

ショックを受けている、けど何に対して?

なんで避けられたものが避けられなかったの?

なんで痛めつけたくないと思ってしまったの?

なんで……遊んでいる奴なのかと思ったら、こんなに胸が痛むの?

< 374 / 505 >

この作品をシェア

pagetop