黒曜の戦場

7.徹夜は記憶力落とすんですよ?



丁寧に説明を受けたものの、今日の所の私の作業はスクリーントーンを切って貼ってくり抜くをひたすらすることだった。

そう雨林さんからの指示だ。



あと、たまに消しゴムかけが甘い所があるから、追加で消し消し。

フランスくんたち、頑張ってくれ。

黒は印刷に残ってしまうじゃないか。けしけし。



それから同じ服の人の柄をひたすら切って貼って切って貼って――。



「五時ですよー?」



耳元でそんな声が聞こえて来て、私はハッとしてそちらを向く。

目の前一杯に咲くんの麗しい顔が広がり、ガタッと椅子から転げ落ちそうになった。近い!!

ガチヤンキー・いおりさんぶっ倒れ事件の時に次いで二度目である。



「わ、気を付けて」



ふわり素早く私の腰を支えてくれる咲くん王子……。

きゅん。



といっても今落ちそうになった原因も咲くんなんだけれども。



「ご、ごめんなさい」

「驚かせちゃったかな」



すごく集中していたから、もう夕方なんて、そんなに時間が経っていたのかとびっくりしてしまった。

というか、咲くんの気配に気付かなかった……。

< 77 / 505 >

この作品をシェア

pagetop