君の気持ち嬉しかった
その日の放課後、校舎から校庭へ出る階段のところで呼び止められた。

振り返ると、薫とその後ろに薫の友達3人がいた。

ただならぬ雰囲気が漂い、それを察した周りの男子が騒ぎ立てる。

最悪かよ。

「これ、良かったら」

渡された手紙。

どれだけ必死に考えて、
どれだけ時間をかけて、
どれだけ心を込めたか。

今なら分かる、でも当時はその重さが分からなかった。

周りから茶化され、そんな状況にした目の前の紙切れに無性に腹が立った。

「いらね」

と目の前で破り捨てた。

「さいってー!!!いこ、薫!」

薫の友達の1人が思いっきり頬をはたいてきた。

そのまま友達に連れられて校舎へ戻って行った薫。

周りにいた男子からは賞賛の嵐で、
当時は《俺かっけぇ》くらいに思っていた。

薫が出した勇気、
伝えようとした気持ち、
綴ってくれた想いを全て踏みにじって地獄に突き落としたのだ。
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