甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》






布巾で汁がはねた場所と違うところを拭く紫乃を見て、動揺し過ぎだろ?と思うが、レアな可愛らしさが倍増中なのでゆっくりと目に焼き付けて、後日脳内再生可能にしておく。

「紫乃、布巾でTシャツが濡れているだけだが?」

さらに可愛らしさが増量するように気づかせる。食べ終えた俺は頬杖をつき、紫乃が慌てる様子を眼球録画しながらゆっくりと眺めているとバチッと目が合った。

「慌てても可愛らしい…好き、紫乃」
「ぁぁ…ぅうん…ぁぁぁりがとっ…」

音声録画もバッチリしながら俺の紫乃を楽しませてもらう。

「今夜から一緒に寝ような」
「…」
「俺、抱き枕にも上手になれるの発見したから…どうぞ俺のベッドへ」
「…うん…えっと…ご招待?ありがとうございます…」
「くっくっ…大丈夫?」
「…イキナリデスネ…」
「ソウデスカ?嫌?」
「…ではないけど…ちょっと急展開に…ついていけてない…ごめん」
「謝らなくていい。とりあえずベッドまで来てよ…ついていけるようにはしてやる。嫌なら…朝まで抱きしめて眠らせて…お願い…紫乃」

蚊の鳴くような声とはこれかという‘うん’が聞こえて、紫乃は真っ赤になった。ああ…可愛らしい…その熱を持った真っ赤な耳を…俺の…考えると俺も熱を持つ。
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