甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》
テーブルの間を通って扉へ向かう途中、片手は壱の肘、もう片手でブーケを持った紫乃が友人の席で足を止める。すると夢唯がふたつのブーケを持って来た。
そして今、手にしているブーケを真麻へ手渡す。
「紫乃ちゃん…ありがとう、嬉しい」
「うん。真麻ちゃん、いつもありがとう」
それから夢唯の持つふたつのブーケを持った紫乃ちゃんは
「白いドレスの時に…式と披露宴でブーケが違ったの…もらってくれる?」
と大阪からの友人二人にブーケを差し出した。
「ありがとう、紫乃」
「すっごく嬉しい」
はしゃぐ二人に
「アレンジメントのように水揚げされるようになっているので明日大阪へも持って帰ってもらえますよ」
と夢唯が言うと、紫乃が申し訳なさそうに言った。
「荷物になってごめんね」
「大丈夫。他の荷物を宅急便で送ってでもこれは持って帰るで、なぁ?」
「そうそう、ほんまに嬉しい」
「うん、良かった。忙しい時期に遠くまで来てくれてありがとう」