甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》
さすがクリスマスイブだ。賑やかな街をタクシーで通り抜け、店の裏から事務所に入る。
「お疲れ様です。今日は来られないのかと思っていました」
「夢唯にケツ叩かれた。堺もご苦労さんだったな、皆喜んでた」
「それは良かったです」
「どうだ?」
店内のモニターを見ながら支配人の堺に聞く。
「ほとんどのテーブルが2順目です。沖田様が先ほど奥様とお嬢様方とお揃いでご到着されました。財閥のクリスマスパーティーの二次会をすると」
「そうか。あとは…今ほとんど皆顧客様か」
「はい。開店直後1順目には玉城様からのご紹介のお二人が新規でご来店されました。とても綺麗に飲まれる方々でした。お名前等、あとで名簿の完成後に代表に見せます」
「わかった」
「明日より今夜の方が来店者数は多そうですね」
「去年もだったな。よし、今夜のうちに稼ぐか…今から全テーブルを回る」
そう言い、水をごくごくと飲んだあと
「後ろ、ついてくれ。行くぞ」
「はい」
支配人を斜め後ろに従え賑わう店内へと入った。