甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》






「うん?起きた?雪乃ちゃん、はじめまして。三鷹です…って言ってもダメか?聖です…じゃないと壱たちの呼び方と合わなくてわからないな」
「ふふっ、そうかもしれません…でも、おしゃべりを始めて小さな子どもが‘聖さん’って呼ぶのはおかしいかな?」
「それはかまわないけど…雪乃ちゃん、ハーフ顔だな」

目をゆっくり開けたり閉じたりする雪乃を見て聖さんが言う。

「ここの先生にも言われた。けど、紫乃に似てる」
「紫乃さんに似てると思うけど、壱のエキゾチックさがいい感じに入ってるんだろ。壱、これは美人になって大変だぞ?」
「何が?」
「雪乃ちゃん、モテるに違いない」
「いいじゃねぇか。モテないよりモテる方がいい」
「すぐに嫁に行くって言うぞ」
「それもいい。俺が紫乃と二人に戻れる」
「壱の揺るぎない紫乃さん断トツのナンバーワンがここでも光ってるな」
「当然」

紫乃がナンバーワンなんて言うまでもない。子どもは子ども、俺と紫乃は俺と紫乃だ。
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