甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》




他の客のドリンクは頂き見送りもしたが、あの女のところへは行かなかった。指名ではないので、ヘルプのプレイヤーが流の指示で順に席へ付いていた。閉店後、様子を聞くと

「代表を指名すると言ったんです」

流の第一声に、事務所にいた全員が爆笑した。

「どう答えた?」
「代表はホストではないので指名できないことと、代表なんて指名したら桁違いの指名料になると伝えました」
「うん。支払いはスムーズだった?」

キャッシャーに聞くとすぐに頷きながら答える。

「はい7万5千円の支払いで、特に問題ありませんでした。財布には10万ほど入っていたように見えました」
「そうか。皆、お疲れさま。今日はたくさん飲んだだろうから、ゆっくり休んでくれ」
「うちの太客が揃いましたからね。すごい売り上げです」
「良かった。急遽ヘルプに入ってくれたのも助かった。1.5倍で計算してやって」
「「「ありがとうございます」」」

ヘルプのプレイヤーは自分の売り上げにならない時給だけの収入だから、こういう時にしっかりサポートしてやらないと続かない。

次はいつお目見えか…
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