義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~
墓参りを終え、義兄の車で移動した。当初から昼食を取って帰ろうと予定していた。
大きな公園近くに店を構えるイタリアンレストランは郊外ということもあってゆったりとした店舗だった。休日の昼時は混雑していて、ファミリー層も見える。気軽な店のようだ。
ランチコースを頼み、ガス入りのミネラルウォーターを口に含む。今日は暑いくらいの陽気で、喉が渇いてしまった。

「あ」

ふとスマホをカバンにしまおうとしてメッセージがきていることに気づいた。

「どうした?」
「同期の狭山さんと林田くんからメッセージ。ふたりで映画だって。私も誘われたんだけど、今日はお墓参りだったから」
「これから合流するか?」
「ううん、今日はお兄ちゃんと出かけてるって伝えてあるし」

そう言って、まるで義兄との時間を優先しているみたいな雰囲気が出てしまったことに気づいた。
義兄にも伝わったらしく、にやにやしている。私が優先したのはお墓参りだと言い返そうとして、ムキになればからかわれるので話題をずらすことにした。

「えっとね、それに最近狭山さんと林田くん、いい感じなの。お昼は三人でいくことが多いから、たまにはふたりっきりにしてあげたほうがいいかなーって」
「なるほど、ぼたんは同期の恋の始まりを応援したいわけだ」
「まだわからないけどね」

義兄は目をふせ、楽しそうな笑みを見せる。リラックスしているのが伝わってくる。

「そろそろ、俺との恋も真剣に考えてほしいところだな」
「それは……」
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