義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~
「ぼたん、そろそろ行こう。食事の時間もある」
「あ、そうだね。すぐにカフェオレ飲んじゃうね」

カップを片付け、店を出ると、丞一が手を繋いできた。驚いて見上げると、少しだけ頬を緩めて微笑んでいる丞一。それが照れ笑いであると気づき、私はまた赤面してしまうのを感じた。ずっと一緒にいたのに、恋人同士になった途端、いろんなことが照れ臭くて嬉しくて……。

「行くぞ」
「うん」

幼い私の手を引いて、転ばせてしまった丞一。あの頃から並んで歩くときはいつも歩調を合わせてくれていた。考えてみたら、どんなときもそういったところだけは変わっていなかったのだ。
私は抑えきれない喜びでくすくす笑いながら、丞一の隣を歩いた。



株式会社平海、商品管理部のオフィスは本社ビルの三階の一室でメンバーは七名。一番年の近い女性の先輩も四つ上で、他の五人はベテランの男性だ。
六月半ば、入社から少し経ち、私もだいぶ仕事に慣れてきたように思う。先輩たちに教わりながら仕事をこなし、うまくいかないときはどんどん相談するようにしている。
同期の林田くんも狭山さんも、各部署で頑張っているし、私も負けていられない。早く戦力になりたい。
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