雨上がりの景色を夢見て

side 高梨兄妹

カーテンから差し込む眩しい光に目が覚める。軽くなった腕に気がつき、慌てて身体を起こす。

時計を見ると、お昼の11時半。すっかり寝過ごしてしまったことを後悔する。

スマホのメッセージを確認すると、やっぱり夏奈から来ていて、内容を確認する。

〝ランチしてから帰ってくるわショッピングモールはいつも行くところよ〟

9時過ぎに来ていたメッセージを閉じて、息を吐く。

昨日飲みすぎたから、自己責任だ。

まあ、昨日は1日中、雛と一緒に入れたから、今日は夏奈に譲るか…。

大きく伸びをして、服を着替えてリビングに向かう。

ラップのかかったお皿がテーブルに置いてあり、隣には置き手紙があった。

〝よかったら食べて下さい。お口に合わなかったらごめんなさい　　　雛　〟

お皿の中には、何種類かのサンドイッチがきれいに盛り付けられていた。

ラップを剥がして、１つ手に取り頬張る。

「うまっ」

誰もいないリビングで、思わずそう反応してしまうほど、美味しかった。

一切れ食べ終わり、キッチンでコーヒーを入れる。熱々のコーヒーと食べるサンドイッチは最高に美味しい。

食べながら、昨日の彼女の様子を思い返した。

あの反応は、トラウマを抱えているように見えた。本人は暗闇が苦手な理由は分からないと言っていたけれど、それは、記憶から消し去りたいほどの出来事だったから、忘れているんじゃないかと思える。






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