雨上がりの景色を夢見て

side 高梨兄妹

夜中に目が覚めて、リビングに向かう途中、雛の顔が無性に見たくなって、そっと雛の部屋の扉を開ける。

オレンジ色の光の中、ちょうど扉の方を向いて寝ていて、穏やかな表情で眠る雛の姿にほっとする。

リビングに行き、グラスに水を注いで、ソファーに腰掛ける。

自分の前髪をかき上げて、今日踏み込んだことを聞いた時の雛の表情を思い出した。

動揺…してたよな。

正直、通院中の雛の心を揺るがすような質問をしていいのか悩んでいた。

でも、今日なら聞けそうな気がして、雛の様子を確認しながら話を聞いた。

明日、俺に合わせたい人って誰だろう。どんな人なんだろう。

水をごくごくっと飲み干して、テーブルに置く。

「…夏樹さん?」

リビングの入り口から声が聞こえて、慌てて視線を向ける。

「ごめん、起こしちゃった?」

「ううん、喉が渇いちゃって…」

雛はそう言って冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してグラスに少しだけ注いだ。

俺の隣に座って、一口ゴクっと飲み干す。

少し眠そうで、ぼーっとしている雛の横顔を見ているだけで、無性に愛おしさが込み上げる。

ビクッと反応した雛。反動で、グラスからわずかな水が、雛の太ももに溢れた。




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