雨上がりの景色を夢見て
第20章 幸せへの道
私は、少し緊張しながら、喫茶店の扉に手をかける。

カラン

ベルの音が響くと同時に、厨房から顔を出した男性の店員さんは、私を見て一瞬驚くと、すぐに笑顔を見せた。

「お久しぶりです」

「雛ちゃん、久しぶりだね」

仁さんとそっくりな笑顔の、私の叔父である賢さんは、私の隣にいる高梨先生に視線を向けた。

賢さんは、ニコッと笑うと、

「初めまして」

と頭を下げる。

「初めまして。雛さんの夫の高梨夏樹と申します」

爽やかに挨拶をする夏樹さん。〝夫〟という言葉にまだ慣れなくて、照れ臭さを感じる。

賢さんは、嬉しそうに微笑むと、私達を1番奥の窓際の席へと案内をしてくれた。

私達の前に水を置いた賢さんは、綺麗な姿勢のたち姿で、私に微笑む。

「雛ちゃん、結婚おめでとう。兄貴から聞いたよ。素敵な方と出会えたんだね」

「賢さん、ありがとう」

あの時、ギリギリのところで現実に引き戻してくれたおかげで、今、こんなに幸せだよ…。

心の中でそう呟いて、自然と笑顔が溢れた。

「賢さんは、仁さんの弟さんで、私の叔父なの」

「ああ、そうでしたか。そう言われてみれば、雰囲気がそっくりですね」

「よく言われます。兄よりは、だいぶ若く見られますけど」

冗談混じりの賢さんの言葉に、高梨先生も笑った。

すごいな…。一瞬のうちに溶け込んでしまっている。





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