雨上がりの景色を夢見て

side 高梨兄妹

いまだに枕に顔を埋めたままの雛のうつ伏せの姿を見つめる。

正直、今日、こんなに感情のままに雛が乱れた姿を見れたことにかなり驚いている。

暗闇の中一緒に寝ようって言い出したのにも驚いたけど。

さっきは肌に触れて驚かせてしまったから、今度は長い髪の毛だけすくいとって、自分の口元へと近づける。

甘い香りのするサラサラの髪の毛にそっと口づけをして、パラパラっと手から離していく。

白いきめ細やかな背中へと落ちていく髪の毛を見つめながら、肌へ触れたい衝動を抑える。

正直、次触れてしまうと、止まらなくなると思う。

雛の腰の辺りから足の指先までタオルケットで隠れているけれど、この隠れた部分を容易に想像できてしまう。

やっぱり、相当スタイルいいよな…。

こんな時に、数ヶ月後のウエディングドレス姿を想像してしまう。

そういえば、8月からリニューアルするウェディングの冊子の表紙になってくれないかって打診があったんだった。

雛のことだから、恥ずかしくて無理だって言うんだろうな…。

でも、せっかくだしいい記念にもなるんじゃないかな。

次の打ち合わせの時までもう少し時間あるし、その話もしてみようかな。

< 526 / 538 >

この作品をシェア

pagetop