雨上がりの景色を夢見て
夏奈さんは、少しだけ拗ねた表情で「はーい」と返事をして、アイスコーヒーを一口飲む。

「中川先生、夏奈のことだから、強引にここまで連れて来られたんじゃない?」

敬語が外れて、オフモードになった高梨先生は、メニューをしまいながら尋ねた。

「荷物多かったのでとても助かりました。それに美味しいアップルパイとも出会えましたし」

確かに、最初はちょっとグイグイきたけれど、夏奈さんの優しさだって分かっている。

「夏樹、私を何だと思ってるのよ」

「あーごめんごめん」

2人のやりとりは、本当に仲の良い兄妹そのもので、見ていると心が温かくなる。

そんな2人の様子に、自然と私自身が笑っている事に気がついた。

すごいなー高梨先生も夏奈さんも。周りにいる人が自然体で居られるような不思議な空気感を作り出す。

そう思っていると、高梨先生の前にもアップルパイとアイスコーヒーが運ばれてきた。

「久しぶりだな食べるの」

嬉しそうにアップルパイを一口食べた高梨先生。

「あー、この味なんだよな」

「…ふふっ」

味わって、しみじみと言った高梨先生がおかしくて、思わず笑ってしまった。

「あっ、いい年して何言ってんだって思った?」

私を見て、冗談混じりに言った高梨先生に、慌てて弁解をする。

「い、いえ、そういうわけじゃなくって…」

いつも見ない一面だったから、可愛らしいなと思ったとは、口が裂けても言えない。







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