パイロットは仕立て屋を甘く溺愛する
**おまけのお話**

分からなかったので聞いてみました

 三嶋家では食事を作るのは当番制になっている。基本、月火水が紬希(つむぎ)の担当で木金は(とおる)が作るのだ。

 お互いに時間が合わなさそうなときと土日はそれぞれで作るようにしていた。

 ダイニングの端で作業している透は、紬希が調理している音を聞きながら仕事をすることになる。

 最近、紬希は料理にも力を入れていて、いろいろ新しいレシピにもチャレンジしているようだ。

 貴堂がくれている刺激は多岐に及んでいるようである。



 先日、急に家を飛び出すように『空港に行ってきます』と出て行った紬希はその日帰ってこなかった。

 そうして翌日帰ってきた紬希は無断外泊を透にそうっと謝った。

「ごめんなさい」
「いや……それはお付き合いしている人もいるのだし仕方ないだろう。でも連絡は出来たらほしいかな。心配はする」
「はい」

 反省はしているようだったし、それ以上は追及することは透はしなかった。

 それに紬希は自立している一人の女性なのである。

 そんな紬希の気持ちを邪魔するつもりは、透にはなかったから。

 透もニュースでJSAの機体にトラブルがあり、飛行機が引き返したため、空港内が一時騒然とした、というのはテレビで見ていたのだ。
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