パイロットは仕立て屋を甘く溺愛する
貴堂がそういうと、紬希はふわりと赤くなって俯いてしまった。
「あ……の、名前……」
「ああ、すみません。花小路くんが紬希が、と言うのでつい僕まで。そんな風に呼ばれるのはお嫌ですか?」
きゅっと唇を噛んだ紬希は、ふるふるっと首を横に振る。
レストランの受付のところで、初めて貴堂を見たとき、なんて素敵な人なんだろうと紬希は思ったのだ。
雪真もとても綺麗で素敵な人なのだが、貴堂はそれとはまったく雰囲気が違う。
大人の男性。
実を言えば紬希が最も苦手な人種だ。
けれど、貴堂は紬希のことをじろじろ見たりしなかったから。
自然にふわりと微笑んでくれて、それがとても安心感のあるものだったのだ。
極端に人が不得手な紬希の心にもそれはするりと入りいるようなものだった。
そしてとても柔らかい声で、雪真のことも紬希のことも褒めてくれた。
だから『着てみたい』と言ったと聞いて、着てほしいと思ってしまったのだ。
そんなことを紬希が思うことは少ない。
こうしてまた目の前で貴堂を見ることは、とても緊張してしまうけれど、それがシャツ作りのためならば、紬希に抵抗はないのだ。
「こちらにお立ちください」
紬希は作業台の前に案内した。
「あ……の、名前……」
「ああ、すみません。花小路くんが紬希が、と言うのでつい僕まで。そんな風に呼ばれるのはお嫌ですか?」
きゅっと唇を噛んだ紬希は、ふるふるっと首を横に振る。
レストランの受付のところで、初めて貴堂を見たとき、なんて素敵な人なんだろうと紬希は思ったのだ。
雪真もとても綺麗で素敵な人なのだが、貴堂はそれとはまったく雰囲気が違う。
大人の男性。
実を言えば紬希が最も苦手な人種だ。
けれど、貴堂は紬希のことをじろじろ見たりしなかったから。
自然にふわりと微笑んでくれて、それがとても安心感のあるものだったのだ。
極端に人が不得手な紬希の心にもそれはするりと入りいるようなものだった。
そしてとても柔らかい声で、雪真のことも紬希のことも褒めてくれた。
だから『着てみたい』と言ったと聞いて、着てほしいと思ってしまったのだ。
そんなことを紬希が思うことは少ない。
こうしてまた目の前で貴堂を見ることは、とても緊張してしまうけれど、それがシャツ作りのためならば、紬希に抵抗はないのだ。
「こちらにお立ちください」
紬希は作業台の前に案内した。