パイロットは仕立て屋を甘く溺愛する
 貴堂といることはまるでジェットコースターのようだ。
 どきどきしたり、気分が急に上がったり、ふわりとしたりする。

 どう対応したら良いのかわからなくて、紬希は布を手に取った。
「選んでもらってもいいですか?」
「もちろん」

 なのに当の貴堂は何も気にしていないように紬希に接するのだ。
 紬希もどうしていいか分からないので、その泰然とした貴堂の態度に、自分も気にしなくて良いのだと安心して布を手にするのだった。


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