見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
【第6章】


 パーティーから数日が経った、ある日の朝。
 来年度早々に専務に就任することが本決まりになったと、朝食の席で稔くんが話してくれた。

「ほんとは昨夜言おうと思ってたんだけど、帰るの遅くなったから」
「おめでとう」
「ありがとう、はるちゃんのおかげだ」
「え、私は何も」

 謙遜でもなんでもなく正直にそう返すと、稔くんは軽く首を振った。

「そんなことない。俺のこと、いろいろ支えてくれただろ」

 微笑みながら言われて、私は少し、複雑……というかどう返せばいいかわからない気持ちになった。いろいろ、なんて言われてしまうとどうしても、夜の事柄が思い浮かんでしまう。

 もちろん家のこと、家事もそれなりにはしているけど。

 食事は朝夜作っているし、出張の時には二人分のお弁当を作る時もある。掃除や洗濯は分担だけど、忙しさの比率で言えば当然ながら彼の方が上だから、必然的に私の方が引き受ける割合は多い。

 けれどそんなのは、特に苦には感じていない。女が家事を引き受けるべき、なんて時代錯誤な考え方ではなく、時間があって可能な方がやるべきだと思っているから。その立場がたまたま、今は私であるというだけ。
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