クール天狗の溺愛♡事情

周囲の反応

 うだうだしてるから苦しいのよ。
 どっちにしろ諦められないんだから、1回当たって砕けてきなさい!

 そう無茶ぶりをしてお母さんは学校へ行くわたしを見送った。


 これ、今日告白しないで帰ったらどうなるんだろう?

 告白出来るかわからない分、そっちの方が気がかりだった。


 なのに、家の外に出たらその風雅先輩がいるものだからもうどうしたらいいのか分からない状態。

「おはよう、美沙都」

 頭の中は混乱しているのに、優しい春風のようなその笑顔に胸はトクンと鳴る。

「お、おはようございます、風雅先輩」

 トクトクと高鳴る鼓動を感じながら、何とか挨拶を返した。


「……えっと、どうしたんですか? 朝から」

「それはもちろん美沙都の護衛だよ。みんなにも山の神の娘だって知られてしまったからな。基本的にはそばにいるつもりだ」

 護衛という言葉に、使命のために来てくれたんだと分かってちょっと苦しくなる。

 朝から会えて嬉しいのと、使命のためにそばにいると言われて苦しいのと。

 どう表現したらいいのか分からない感情が胸に広がった。


「……ありがとうございます」

 とりあえずお礼を口にすると、嬉しそうに甘く微笑まれる。

「穂高さまが目覚める前に知れ渡ってしまったから大変だろうけど、ちゃんと守るから」

「……はい」

 その言葉でやっぱり風雅先輩は全部知っていたんだなって分かった。
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