クール天狗の溺愛♡事情
「美沙都……」

 心配そうにわたしを見た風雅先輩はもう一度彼女たちを睨むように見上げた。


「とにかくこの子は保健室に連れて行きます。もうこんな風に追い詰めないでください」

 そう言い終えると、彼はわたしに優しく告げる。


「ちょっと揺れるけど、我慢してくれ。辛かったら叩いて教えてくれればいいから」

 そしてわたしを抱き寄せ、慣れた様子で横抱きに抱え上げた。

 揺れには少し「うっ」となったけれど、すぐそばに感じる温もりには安心感があってその辛さもすぐに消えてくれる。


 そうして戸惑う彼女たちの間を通り抜け、風雅先輩はわたしを保健室に運んでくれた。
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