落花流水ノ情


火照った体を夜風に当ててから戻った。

………。

あたしは自分の目を疑った。

そこにはスタッフさんと悠生がキスをしていた。

こんなのテレビでしか見た事ない…。

いや、そうじゃなくて。

なんだろう、この胸のざわめき。

温かいものが頬を伝う。

「芽緒ちゃん…」

翼さんの優しい声。

「悠生、やりすぎだって」

神楽さんが悠生さんとスタッフさんを離す。

「あたし、帰りますね」

精一杯笑顔を作った。

「待って!」

翼さんが言ったけどあたしは走り出していた。
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