極上男子短編集

落ち込む

「レイヤ様に似ていることは本人には言わない方がいいって言ったのに!」


翌日の昼休憩中。


朝から落ち込んでいる私から昨日の出来事を聞き出した桃が呆れ顔で言った。


「だって、つい……」


「しかも寝込みを襲うとか、以外とやるじゃん」


桃はどこかおもしろそうな声になって言った。


そんな桃をにらみつける元気も、もう私には残されていない。


「失敗しちゃったんだね私。もう、嫌われたのかも」


寝込みを襲う女なんてきっと、清水くんじゃなくても嫌なはずだ。


つい、いきおいで、出来心で。


そんなことで許されることじゃない。


これは立派な犯罪だった。


「う~ん、嫌われたかどうかはわからないけど」
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