極上男子短編集
スポーツマンの場合

熱気

グランドで感じる熱気はいつも私の肌を焦がす。


「裕太かっとばせ!」


ベンチからグラウンドでバッドを握る裕太へ向けて声援が飛ぶ。


裕太はその声援に答えるように絶妙なタイミングでバッドを振り、ほぼ同時にカーンッ! と小気味いい音が空中に響いた。


私は思わず立ち上がり空高く飛んでいくボールを目を細めて見つめた。


ボールは太陽の光に照らされながら高く高く飛んでいく。


「さすが裕太くん」


そんな声が聞こえてきて視線を横へ向けると、私と同じ極上高校野球部のマネージャーをしている2人組の女子が、裕太を見て頬を染めているのがわかった。


2人共同じ2年生で、確かクラスはE組だ。


2年B組に在籍している私とは、野球部のマネージャーという以外に接点はない。


2人に初めて会ったのも、2年生に上がってから2人が野球部の練習を見学したときのことだった。
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