極上男子短編集
しかし2人は私の真剣さに気圧されたのか、視線をそらして、たじろいだ。


まっすぐな気持ちはきっと相手に伝わる。


こうして2人が揺らいだように。


私はまたグラウンドへと視線を向けた。


バッターボックスに立つ裕太が投げられたボールを目で追いかけて、バッドを振った。


ボールはバッドの真ん中にあたり、カキーン! と、空に抜けるような音が響いた。


私は無意識のうちに立ち上がり、全力で拍手をしていた。


ワッと歓声が上がり、白いボールは青い空の高くまで舞い上がって行ったのだった。
< 179 / 190 >

この作品をシェア

pagetop