恋に落ちたら

お試し期間

行きは少しウキウキするように感じた音楽も今の気分とは裏腹でなんだか空回りしてるように聞こえる。

「みのり、さっきはごめん。俺は確かに年相応に経験もしてきたが社会人になってからは誰ともそういうことはしていない。俺は嘘はつきたくなかったから話したんだ。でもそれがみのりにとって不快な気持ちにさせたのなら謝るよ。過去であって今ではないってことも信用してほしい」

私は何も言えずに膝を見つめながら拳を握りしめた。
私って本当に子供だ。
30歳になる悟くんが今まで何もなかったわけなんてない。
そんな過去の話を持ち出して怒るなんて少し恥ずかしい。

「みのりには隠し事はしたくない。気になることはなんでも聞いてくれ。そのかわり、すぐに俺を判断しないでほしい。俺はみのりと本気で恋愛したいと思っているからちゃんと見てほしい」

悟くんの気持ちを聞いて心の中で何かが動いた。
隠すことだってできたはずなのにちゃんと話してくれたのはとても誠実だと思った。
一気に冷めた気持ちがまた少しだけ胸の奥が温かくなった気がした。

「小さい頃の俺しか知らないだろう? もっと見て知ってから考えて。それでダメなら諦めるよ。もちろんまた友人に戻ると約束するし、ちゃんと付き合うまでは手を出さない」

「もう出したくせに……」

小さな声で反論した。
昨日も今日も私にキスしたじゃない。
それなのに手を出さないっておかしい。

「ごめん。でも手を繋ぐこともキスすることも相手を意識させるのに効果的だろう? 焦ってついしてしまった。でも嫌なら絶対にしない。反対にどこまでならいい?」

なんの経験もない私がどこまでだなんてよくわからない。
答えられずにいると悟くんは提案をしてきた。

「みのりに確認するよ。それで嫌なら言って」

それはそれで恥ずかしくない?
許可制?
それじゃあいいって言ったら私がしたいってことになるじゃない。
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