独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
さすがに警戒心が湧き、会話の中でさり気なく愛妻家だとアピールした。

これ以上近づく前に、予防線を張ろうとしたのだ。

しかし彼女は気に留めた様子もなく、ぐいぐい晴臣に近付いて来る。

更にどこで調べたのかプライベートのスマホに連絡をしてくるようになった。

取引先の秘書だからと遠慮していたが、そろそろ釘を刺さないとまずい。

そう考えていた矢先、瑠衣に問い詰められた。

彼女を心配させない為にも、先方の役員に事情を伝え、仕事でも晴臣とは関わらないようして貰うようにするつもりでいた。

晴臣からのクレームは舟木美帆のキャリアにはマイナスになるだろうが、自業自得だ。

ソフトに断っているのを気付いていたくせに、無視して近づいて気た方が悪い。

瑠衣を不安にさせるくらいなら、他人に冷酷と言われた方がいい。

舟木美帆の件を解決し、瑠衣に他の女に隙を見せてしまったことを謝ろう。

そして、結婚記念日に渡し損ねたプレゼントを渡して和解するのだ。

ずっと気になっていた瀬尾の件もいい加減に解決したい。

そんな予定でいたのに、まさか実家に帰ると言われるとは。
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