夢見るだけじゃ終われない 〜恋と令嬢とカクテルと〜

「悠、ありがとう」
「ん? 急にどうしたの?」

「無理やり迫った私を抱いてくれてありがとう。あなたのことは一生忘れない……ううん、忘れなくちゃ駄目だよね。だって夫になる人に失礼だもん」

 言っているうちに鼻の奥がツンとして、みるみる視界が(にじ)んでいく。

 そんな私の頬を悠が優しく撫でた。

「茉莉、俺は茉莉のことが好きだよ」

 ――えっ?

「好きって……私を?」
「どうしてそんなに驚くの? 俺は好きな子じゃなきゃ、抱いたりしないよ」
「嘘……」

 だって私たちは知り合ったばかりで、私が無理やり迫って、だから悠は仕方なく……

 けれど悠は首を横に振る。
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