クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです
大丈夫もなにもないだろうけど、そう訊くしかなかった。
本田くんはケロッとして、だいじょーぶと笑った。
男に持ち上げられたのは結構プライドが傷つくものなんじゃないかと思ったけれど、こういう所が本田くんのいい所なのかなんなのか……。

「にしてもあの男、まさか彼氏?」
「ちがうよ! 幼馴染のお兄ちゃんだよ」
「へぇ、お兄ちゃん! なるほど妹扱いって感じだよな。まるで保護者だよな」
「あはは。だよね」
「な、これから暇?」
「え?」
「昨日は邪魔入っちゃったからさー、仕切り直しで俺とご飯いかね? ね、いいじゃん?」

本田くんの底抜けに明るい笑顔がそうさせたのか、私はついうなずいて、早速握ってきた手に引かれて繁華街の方へと向かった。

夕方の繁華街は人で賑わっていた。
けれども、いつもより騒がしい気がする。
彼方からサイレンが聞こえてくる。

「火事だって」

通りすがりの人が言った。

火事?

ぞわり、と胸がざわついた。
この区域は、お兄ちゃんの管轄じゃないだろうか。

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