交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

早めの夕食を外で済ませ、明日以降に必要となる食材をスーパーで買ってから、無事マンションへ到着。コンシェルジュの手も借りつつ、部屋へやってきた。

彼のマンションには荷物を運び込むために何度か訪れているが、未だに委縮してしまう。

石積みの塀がしなやかなアールを描く低層の建物の最上階、三階に彼の部屋はある。
玄関からリビングへ続くホールはオニキス柄のブラックの床が広がっている。バルコニーに向かい全面を開いたダイナミックな開口のリビングは、鏡面のようになった床が窓の外の景色を映し出し、時間とともに変化する空の色彩を楽しめる。真っ白なソファが配され、白と黒のコントラストが美しい。

茉莉花にもやわらかなベージュ系でまとめられた八畳ほどの部屋が用意されているが、そこにはソファとテーブルがあるだけ。となると……。

(やっぱり寝室は一緒だよね)

与えられた自室で片づけの手を止め、否応にも鼓動が速まる。

吉鷹とはクルーズ船で初めてのキスをしたきり。彼の言う〝ステップ〟はそれ以上踏んでおらず、止まっている。だとしたら、今夜はいよいよ……。


「片づけは終わったか?」
「ひゃぁっ」
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