交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

とはいえ、それが長引いたり、痛みが強いときには危険を知らせるサインの可能性もあるらしく、いつでも楽観してはいけないらしい。

そのボーダーが今ひとつわからず、以前、吉鷹がエコーの機材を自宅に置きたいと言っていたが、今の茉莉花はまさにその心境である。いつでもお腹の様子を確認できれば、不安を取り除けるのにと。

吉鷹にそんなことを漏らせば、本気で用意してしまうだろう。――それも最新の4D機器を。

彼の過保護ぶりは妊娠判明以降、加速度をつけている。

マンションには少しずつ増えたベビーグッズがところ狭しに並べられ、つい先日は吉鷹の父、徳之助からベビーベッドがプレゼントされたばかりだ。


「茉莉花さん、これもぜひ食べてほしいのよ」


そう言って料理を勧めるのは吉鷹の母、紫である。日曜日の今日、徳之助とふたりで茉莉花たちのマンションを訪れていた。

大小さまざまなタッパーに詰めて持参した料理は、家政婦と一緒に作った〝妊婦のためのメニュー〟だという。
じゃがいもの明太チーズ焼きにとろとろ豆腐の中華スープ、しらす入り玉子焼きにウナギの玉子とじ。おやつには、ごまとおからのサクサククッキーまで焼いてある。どれも妊娠中に必要なビタミンやミネラル、カルシウムが豊富なメニューだ。
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